総入れ歯とは
総入れ歯(そう入れ歯)とは、上下いずれかの全ての歯が失われた場合に用いる、取り外し式の補綴装置です。
大阪府藤井寺市の新美歯科では、多くの患者様に総入れ歯をご提供しており、その費用と治療期間についてよくご質問を受けます。
総入れ歯は、人工歯がプラスチックやセラミックで作られ、これらが樹脂やアクリル、または金属で作られた床(床とは歯肉に接する部分)に装着されています。
この床が顎の粘膜に吸い付く力によって安定し、食事や会話ができる仕組みになっています。
⚠️ 重要なお知らせ
本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療費用や期間は患者様の個別の状態により異なります。
正確な情報については、必ず歯科医師にご相談ください。
保険の入れ歯と自費の入れ歯の違い
総入れ歯には、大きく分けて2つのタイプがあります。
保険診療で製作される入れ歯と、自費診療で製作される入れ歯です。
それぞれの特性を理解することで、患者様に最適な選択ができます。
保険の入れ歯(レジン製)
保険診療で製作される総入れ歯は、床がアクリルレジン(プラスチック)でできています。
これは一般的で、多くの患者様が使用している標準的なタイプです。
特徴:
- 費用が安い(3割負担で1万円前後)
- 製作期間が短い
- 修理が容易
- 製作に特殊な材料や技術を必要としない
デメリット:
- 強度を保つために、床に一定の厚みが必要(約2mm以上)
- この厚みにより、装着感が劣る
- 熱伝導性が低いため、食事の温度感を感じにくい
- 時間とともに色が変わることがある
自費の入れ歯(金属床)
自費診療で製作される総入れ歯の代表が、金属床入れ歯です。
床の部分にコバルトクロムやチタンなどの生体親和性の高い金属を使用します。
日本補綴歯科学会でも、金属床義歯の優れた性能が認められています。
(参考: 公益社団法人 日本補綴歯科学会)
特徴:
- 床を薄く製作できる(0.5〜1mm程度)
- 装着感が格段に良い
- 金属の優れた熱伝導性により、食事の温度を感じやすい
- 強度が高く、耐久性に優れている
- 口内での違和感が少ない
- 審美性が優れている
デメリット:
- 費用が高い
- 製作期間が長い
- 修理に際して、歯科技工所への回送が必要な場合がある
- 製作に高度な技術が必要
総入れ歯の費用
保険診療での費用
保険診療で総入れ歯を製作する場合、患者様の負担は以下の通りです:
- 3割負担の場合: 約8,000〜12,000円
- 1割負担の場合(後期高齢者など): 約2,000〜4,000円
- 初診料などの別料金: 別途必要な場合があります
多くの患者様が保険診療を選択されます。
ただし、材料や技術に制限があるため、装着感や長期的な快適性の面では制約があります。
自費診療での入れ歯・義歯の種類
新美歯科では、患者様のニーズに合わせた様々な自費入れ歯をご用意しています。
以下に主な入れ歯・義歯をご紹介します。
総入れ歯の自費診療費用
- リーバ(3Dプリントデンチャー)
- 最先端の3Dプリント技術を使用した入れ歯
- 精密で快適な装着感
- 修理や調整が容易
- 金属床義歯(コバルトクロム)
- 耐久性に優れた金属素材
- 薄く軽い設計で装着感が優れている
- 熱伝導性に優れ、食事の温度が感じやすい
- 金属床義歯(チタン)
- 生体親和性に優れた最高級の金属
- 軽量で耐腐食性が優れている
- アレルギーが起こりにくい
- 金属床義歯(ゴールド)
- 最も高級な素材を使用
- 優れた生体親和性と耐久性
- 審美性に優れている
- コンフォート(高級シリコンデンチャー)
- 床の内面に高級シリコンを使用
- クッション性に優れ、痛みが出にくい
- 吸収性が良く、安定性が向上する
- インプラントオーバーデンチャー
- インプラントに固定された最も安定した入れ歯
- 咀嚼能力が大幅に向上
部分入れ歯の自費診療種類
- 金属床義歯(コバルトクロム)
- 失われた歯の数や位置により費用が異なります
- 部分入れ歯でも金属床により快適性が向上
- 金属床義歯(チタン)
- 最高級の金属素材を使用した部分入れ歯
- 生体親和性に優れている
- 金属床義歯(ゴールド)
- 最も高級な素材を使用した部分入れ歯
- 優れた耐久性と審美性
- スマイルデンチャー
- 見た目が自然で美しい部分入れ歯
- 金属のバネが見えないデザイン
自費診療では、保険診療の制限を受けないため、患者様の希望に合わせたカスタマイズが可能です。
例えば、特定の金属素材の選択、見た目のこだわり、機能性の最適化など、より高い精度での製作ができます。
入れ歯の原理と安定性
総入れ歯が口の中に安定して留まるのは、吸盤の原理によるものです。
この基本的な仕組みを理解することで、入れ歯の限界や工夫の必要性が見えてきます。
吸盤の力による安定性
歯を失った顎の上に、入れ歯の床が接触する面積が大きければ大きいほど、
そしてその面がしっかり適合していればいるほど、吸い付く力が強くなります。
しかし、時間の経過とともに、この安定性は低下していきます。
歯槽骨吸収による安定性の低下
歯を失うと、顎の骨(歯槽骨)は徐々に吸収し、平らになっていきます。
これは自然な生理現象で、避けられません。
骨吸収が起こると
- 入れ歯の床と粘膜の接触面積が減少する
- 吸い付く力が弱くなる
- 入れ歯がグラグラして安定しなくなる
- 食事や会話の際に、入れ歯がズレたり外れたりする
これが、多くの入れ歯ユーザーが「入れ歯は安定しない」と感じる主な理由です。
新美歯科では、このような状態に対して、定期的な調整やリラインといった対応を行っています。
くしゃみで入れ歯が飛ぶ?
入れ歯が外れるエピソードとして、「くしゃみで入れ歯が飛んだ」という話を聞くことがあります。
これは、歯槽骨吸収が著しく、入れ歯の安定性がほぼ失われている状態で起こりやすい現象です。
安定性の良い入れ歯では、このようなことはほとんど起こりません。
嘔吐反射への対応
総入れ歯の装着で、予期しない大きな障害となるのが嘔吐反射(おうとはんしゃ)です。
これは多くの患者様が経験する問題であり、新美歯科でも対応方法をご相談しています。
嘔吐反射とは
嘔吐反射は、喉の奥に異物が触れたときに起こる生理的な防御反応です。
これは正常な反応で、誰にでも備わっています。しかし、個人差が大きく、反射が非常に強い方がいます。
総入れ歯による嘔吐反射
問題は、総入れ歯の床が天然の歯よりも広い範囲に及ぶため、嘔吐反射が強い部位をカバーしてしまうことです。
- 天然の歯は上顎の前方部分と側方部分までしかありません
- 総入れ歯は、これらの部分に加えて、奥まで及びます
- 特に、上あごの奥の部分(軟口蓋)は、嘔吐反射が最も強い場所です
- 入れ歯がこの部分を覆うと、強い嘔吐反射が誘発されます
嘔吐反射への対応方法
新美歯科では、以下のような対応を行います:
- 床の形状工夫: 嘔吐反射を誘発しやすい部分の床を最小限にする設計
- 段階的な慣れ: 初期段階では短い時間から使用を始め、徐々に装着時間を延ばす
- リラクゼーション技法: 患者様の心理的な不安を軽減し、反射を弱める工夫
- 代替治療の検討: 嘔吐反射が極めて強い場合は、インプラントなどの治療法も検討
嘔吐反射に関しても、患者様一人ひとりの状態に合わせた対応を心がけています。
治療期間と治療の流れ
通常の総入れ歯製作の流れ
既に他の歯が失われており、複数の歯がない状態での総入れ歯製作は、以下の流れで進みます
- 初診と診査: お口の状態を詳しく検査し、治療計画を立てます
- 型採り(印象採得): 顎の正確な形を記録する印象材を使用します
- 模型製作: 採った型から、実際の大きさの模型を作ります
- 咬合採得(かみ合わせの記録): 上下のかみ合わせの関係を記録します
- 試適(ししゃく): 完成前に、形や色などの確認をしていただきます
- 調整・完成: 微調整を行い、最終的に完成させます
所要期間: 通常、約1ヶ月半から2ヶ月でお作りできます
既存の歯を抜いた後の総入れ歯製作
複数の歯がまだ残っており、これらを抜歯してから総入れ歯を作る場合は、注意が必要です。
重要なポイント
- 抜歯後、歯肉と骨は急速に変化します
- 抜歯直後に型を採ると、その後の骨吸収に合わなくなります
- 理想的には、抜歯後1ヶ月以上経過してから、型採りを行う必要があります
- これにより、より安定した入れ歯が製作できます
既存の入れ歯がある場合の対応
古い入れ歯がある場合、新しい入れ歯ができるまでの間、古い入れ歯を改造して使用できることがあります。
新美歯科では、患者様の不便さを最小限にするために、このような対応を可能な限り行っています。
総入れ歯のメリット・デメリット
総入れ歯のメリット
- 取り外し式である: 外してお手入れできるため、衛生的に保つことができます
- 修理が可能: 修理や調整が必要な際に、歯科医院にお預かりして対応できます
- 比較的安価: 特に保険診療は経済的です
- 一定の咀嚼能力回復: 天然の歯と比べると低下しますが、基本的な食事機能は回復します
総入れ歯のデメリット
- 安定性が低い: 歯槽骨吸収により、時間とともに安定性が低下します
- 咀嚼能力の限界: 天然の歯が9〜10の咀嚼能力を持つのに対し、入れ歯は5〜6程度です
- 違和感がある: 初期段階で異物感があり、慣れるまでに時間を要します
- 嘔吐反射: 嘔吐反射が強い患者様では、装着が難しい場合があります
- 消化への影響: 咀嚼が不十分になると、消化に悪影響を与えることがあります
- 定期的なメンテナンス: 定期的な調整やリラインが必要です
他の治療法との比較
インプラント支持入れ歯(インプラントオーバーデンチャー)
従来の総入れ歯では満足できない患者様向けに、インプラントを活用した最も安定した方法があります。
- 方法: 顎に2〜4本のインプラントを埋入し、そこに入れ歯を固定します
- メリット: 安定性が大幅に向上し、咀嚼能力も格段に改善されます。
取り外しも可能で、お手入れが簡単です - デメリット: インプラント手術が必要で、費用と治療期間を要します
ブリッジ(固定式補綴)
歯が数本失われている場合のもう一つの選択肢です。
- 方法: 失われた歯の両側の歯を削り、人工の歯を橋のようにかける固定式の補綴装置
- メリット: 取り外す必要がなく、違和感が少ないです
- デメリット: 健全な両側の歯を削る必要があり、全ての歯が失われた場合には適用できません
全インプラント治療
全ての歯が失われた場合、理想的な治療法ですが、費用が最も高くなります。
新美歯科では、患者様のご希望と条件に応じて、最適な治療方法をご提案いたします。
よくある質問
Q1: 保険の入れ歯と自費の入れ歯は、どのくらい使い心地が違いますか?
A: 床の厚みが大きく異なるため、装着感は大きく違います。
自費の金属床入れ歯は、厚みが1mm程度に抑えられ、温度を感じやすく、異物感が大幅に少なくなります。
患者様によっては、生活の質が大きく改善されたとご評価いただいています。
Q2: 総入れ歯は、どのくらい長く使用できますか?
A: 定期的なメンテナンスと調整を行えば、5〜7年程度は使用できます。
ただし、歯槽骨の吸収が進むため、その間に複数回のリラインが必要になります。
Q3: 入れ歯でも、通常の食事はできますか?
A: 基本的な食事は可能ですが、非常に硬い食べ物や粘着性の高い食べ物は避ける必要があります。
また、咀嚼能力が低下しているため、より細かく噛む必要があります。
Q4: 入れ歯に慣れるまで、どのくらい時間がかかりますか?
A: 個人差がありますが、一般的には1〜3ヶ月で慣れ始め、
3〜6ヶ月で日常生活に支障がないレベルになることが多いです。
Q5: 抜歯と同時に入れ歯を入れることはできますか?
A: 抜歯直後に「即時義歯」という入れ歯を入れることは可能ですが、
その後の骨吸収に対応するため、複数回の調整が必要になります。
理想的には、抜歯後1ヶ月以上経過してから、最終的な入れ歯を製作することをお勧めします。
まとめ
総入れ歯の費用と治療期間は、選択する材料や製作方法により大きく異なります。
大阪府藤井寺の新美歯科では、患者様の経済状況、生活環境、希望に合わせて、最適な入れ歯をご提案しています。
重要なポイント
- 保険の入れ歯は経済的で、基本的な機能を果たします
- 自費の金属床入れ歯は、より高い快適性と長期的な満足度を提供します
- 最初の選択だけでなく、定期的なメンテナンスが長く使用するための鍵です
- 嘔吐反射や安定性の問題がある場合は、インプラントなど別の選択肢も検討すべきです
- 患者様の個別の条件により、治療期間や費用は異なります
新美歯科では、初診時の詳しいカウンセリングにより、
患者様のご希望や条件を十分にお伺いした上で、費用と期間をお見積もりし、最適な治療計画をご提案します。
総入れ歯についてご不明な点やご質問がある場合は、お気軽に新美歯科にお問い合わせください。
患者様の快適な口腔生活の実現に向けて、スタッフ一同でサポートさせていただきます。
【医学的根拠と責任表示】
本記事は、日本補綴歯科学会の公開情報や、一般的な歯科医療の知見に基づいて作成されています。
記載されている費用は新美歯科の参考価格であり、地域や医院により異なる場合があります。
詳細な費用については、必ず歯科医院にお問い合わせください。
【参考文献・情報源】
・公益社団法人 日本補綴歯科学会 https://hotetsu.com/index.html
文責:新美歯科 理事長
歯科医師 新美 晴也

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